
秋田の酒を語るとき、主役は人だけではない。山と水と田、そして季節そのものが、毎年同じ順番で一杯の酒をつくっていく。
山 — 冬が水を蓄える
白神山地、奥羽山脈、鳥海山。冬のあいだに積もった雪は、春から夏にかけてゆっくりと地中にしみ込み、長い時間をかけて伏流水になる。
水 — 湧き出す恵み
美郷町六郷では100カ所もの湧水が確認され、蔵はいまもその水で酒を仕込む。やわらかな雪どけの水が酒の味わいの根幹にある、と春霞の栗林酒造店は語る。
田 — 米が実る
雪どけ水は田を満たし、秋には稲穂が実る。仙北平野や横手盆地は県内有数の米どころ。秋田銘醸のように、自社の田で百田や一穂積を育てる蔵も出てきた。
蔵 — 寒の季節に醸す
再び冬が来ると、蔵の仕込みが始まる。湯沢の両関酒造は低温長期醸造法を生んだ蔵として知られ、秋田市の新政酒造では、現存する協会酵母で最古の「きょうかい6号」が生まれた。山から始まった一年は、こうして一杯の酒になる。
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